■子供と親の狭間で

50歳代になると子育ても一段落終わり、少しばかり趣味や好きなことにお金と時間を割けるようになる。50歳代になる前から趣味や好きなことにお金と時間を割いてきた方々は、さらに多くの時間とお金を割けるようになる。そういう方々は羨ましいというか、本心から尊敬する。一方、50歳代後半から60歳代にかけては子供ではなく親に時間をとられることが多くなる時期になる。

介護まではいかなくても介助が必要になってくる。本人たちが「大丈夫だ」と言っても、体力的な衰え、脳力的な衰えには逆らえない。脳力的とは記憶力や判断力、理解力といった思考力の衰えである。日常生活に支障はなくても、社会問題となっている「オレオレ詐欺」「ブレーキアクセルの踏み間違え」などは、いつ自分の親に降りかかってくるかわからない。


■核家族と四世代同居

新おとな世代(50歳代・60歳代)の家族構成はどのようになっているのだろうか。各地域での差はあると思うが、都市部では少人数世帯(核家族)が多く、地方では大家族(親と同居家族)が増える傾向にあると予測できる。核家族は昭和の初期からあったが、その頃は長男が家を継ぎ、次男以降は外に出るという風潮がまだあったころだろうし、女性は嫁に出て行くというのが普通だった時代である。

第二次世界大戦以降の高度経済成長時代に急激に核家族化が進み、老親の親と同居する家族は少なくなってきた。今では寿命が延びたこともあり、同居家族の構成はひところの三世代同居からさらに進み四世代同居の家族もある。同居家族は同居している子供、ときには孫世代も両親、祖父母の介護を担うこともある。

■介護は誰が行うか

介護者と被介護者のグラフがある。

介護年齢
グラフでみる世帯の状況(厚生労働省大臣官房統計情報部)
※上記グラフはp52

70歳代の要介護者は70歳代が介護(50.6%)、いわゆる老々介護である。80歳代の要介護者等は50歳代の介護が(29.9%)、60歳代の介護が(26.1%)が多くなる。つまり親が70歳代までは夫婦で介護することが多いが、80歳を超えるころから子供が親を介護していると読み取れる。これは統計値であるので、70歳を超えたころから親の健康状態に不安が出てきたら、そろそろ介護が始まると考えたほうが良い。

■自宅で介護するのか

同居している場合は、自宅をベースにして介護を行う。もちろんデイケアやショートステイを利用する場合も自宅での介護となる。平成29年1月1日より介護休業について法律が改正されたのだが、介護休業が認めらる日数は「93日」(3ヵ月)である。
改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法の概要

93日で介護が終わるとは考えられない。以前も書いたことがあるが、平均寿命と健康寿命の差は男性で9年、女性で12年ある。つまり10年近くは介護が続く可能性があるのだ。たとえ短くなったとしても3ヵ月で介護が終わるとは考えずらい。したがって介護する両親・祖父母が施設に入所してもらうか、自分が働き方を変えるかのどちらかしかない。  

■働き方を変える前に

大企業なら手厚い介護にかかわる福利厚生とモラルがある(と思う)。中小企業では必ずしもそうとは限らない。法律に則った制度はあっても介護に対する理解が醸成されていなかったり、逆に温情で介護を容認にする企業もあるかもしれない。零細企業・個人事業となると、その時点で働き方を変える必要が出てくる。

労働環境・職場環境・家族環境がどのような形でも、両親の介護は必要になってくる時期がある。介護を受けることを両親が考えているかというとそそうはいかない。「大丈夫」という答えが返ってくるだけだ。自分で本当にそう思っているのか、子供に心配をかけたくない一心でそう言っているのかを判断しなければならない。

■家族の一員としての介護

避けられない事実であるならば、介護に対する心構えも計画を立てなければならない。今の仕事をどうするかが最初に頭に浮かぶであろう。今の仕事をしながら介護を行うにはどうすればよいのかというのが一番先にに考えることだ。配偶者(往々にして妻だが)に任せることになる。これは一つ間違えば介護離婚につながる。よく話し合ってみたほうがよい。

自分も介護しながら配偶者にも手伝ってもらうという考え方もある。親と同居している場合ならこれもありだが、別居している場合はそうはいかない。自宅に引き取る、親と同居を考えるなどいろいろな方法があるはずなんだが、実際に直面しないとなかなかこういう考えには至らない。別居のまま介護するのはとても難しいし、万が一のこともある。同居することを全く考えていなかった場合は、改めて考えなければならない。

介護が実生活の中に入ってくると仕事中心の生活は断たれる。介護中心すなわち自宅中心の生活にならざるを得ないのだ。介護も生活の中に組み込んだ働き方を考えなければならない。そうなると最も好都合なのは自宅で仕事を行うことになる。自宅をベースにした働き方である。

(続く)






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