人生後半戦の新おとな学入門

50代60代のためのニューシニア講座 働き方・暮らし方・生き方・学び方・遊び方




◆シニアに厳密な線引きはない

前回は日本の人口構成から見た「シニア世代」を50歳代から70歳代までの年代と大きく定義づけてみた。さらに1960年代生れを「ネクストシニア」、1950年代中頃から後半生れを「ニューシニア」、1950年代前半から団塊の世代を含む1940年代中頃生れまでを「シニア」と呼ぶこととした。

年齢の境界を曖昧にしたのは、毎年年齢が上がっていくことと同じ年齢でも個人差があるからである。したがってこのような呼び方を決めたところで、5年後にはこの呼び方が適切であるかどうかはわからない。一方、社会の制度や環境では生年月日や年齢で厳密に決められているが、それらは「シニア」というという年代の線引きではなく制度と規定としての線引きを行っているだけである。

シニア世代での一番大きな線引きは、「定年制度」と「年金制度」の二つである。そしてこの線引きが、現状では流動的になっている。この流動的な状態と「ニューシニア」という世代が重なり、喧々諤々の議論が交わされている。時代が変わるというときには往々にして行われるのだが、時代が変わってしまえば歴史に一部でしかない。


◆ニューシニアは「くびれ」世代

さて、これからはニューシニア世代に限っての話となる。前回の曖昧な線引きではなく、生年と年齢でより具現化したい。2015年の人口調査において、団塊の世代以降の年代人口が160万人以下が人口ピラミッドの「くびれ」の部分として考えると、1954年から1963年の10年間に当たる。(丙午の1966年も該当するがこの年代は含めない)

この10年に生まれた年代は2017年の年齢でいうと54歳から63歳の人たちを指す。年代人口160万人を切るのは、これ以降1979年までない。また、1953年以前になると1944年の約163万人を除いて160万人を超える年代はない。高齢者が増えたのではなく寿命が延びたことで減らなくなったのだ。 (前回掲載したの2015年の人口データはこちら

◆定年制度と年金制度

ニューシニアの働き方で大きく影響を与える要素として「定年制度」と「年金制度」があることはすでに述べた。簡単な表でもう一度確認してみる。(参考:年金開始支給年齢 -日本年金機構 65歳までの雇用機会の確保 -厚生労働省

年金定年相関
定年も年金も年齢で定められているが、定年が暦年(1/1~12/31)に対して年金の報酬比例部分は年度(4/2~翌年4/1)で定められている。ここに一つめの歪みがある。もう一つの歪みは、定年が60歳から65歳に変わることであるが、60歳から65歳までの間は、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」という3通りの方法があり、現状では60歳からは継続雇用を行う「再雇用制度」を取っていることが多い。

◆過渡期の影響を受けるのは

上表でもわかるように、年金受給の欄で白色の移行期がニューシニア世代と重なる部分である。例えば、2017年では65歳になる年代の人(表右端)は、1952年生れの人(表左端)である。この年代の人は報酬比例部分の年金を60歳から受給しており、老齢基礎年金も2017年から受給が始まる。考え方によっては、定年制度と年金制度の過渡期の影響を今後は受けない年代と言える。

同じように考えれば、2017年に50歳になる年代の人が60歳になる2027年までには、年金制度は完全に65歳からの受給になり、おそらくその頃には定年制度も60歳以降の再雇用制度から一歩進んで、定年年齢が65歳か定年廃止になっているだろう。前述の2017年で65歳になる1952年の年代の人と同じく定年制度と年金制度の過渡期は終わって影響を受けない年代と言える。

◆「働き方」そのものを考える

このように考えると、定年制度と年金制度の影響を受ける年代は年々少なくなる。将来的には年金は65歳からの受給、定年も65歳か定年廃止となるからには、制度そのものを議論するよりも「働き方」を考える方が現実であるし、働かない以上は年金も定年も制度としては成り立たない。特に、ニューシニア世代は、60歳以降の働き方を雇用期間の延長と考えずに、「働き方」そのものを考えるべきである。

「ニューシニアの働き方」を考える上では個人差も考慮しなければならない。業種と職種、キャリアとスキル、組織と個人、生活状態、健康状態、地域特性などの個人差はあるが、すべてを考慮することはできない。「ニューシニア」に限って「働き方」を考えるのは、全体を考えるのではなく身近なところから考えは始めようということである。考え方に賛同する必要も批判する必要もないが、批評だけで当事者としての考えを持たないのでは「働き方」を考える必要もないと思う。当事者として考えていただきたい。

1.今まで経験してきた業種と職種は10年後も同じ形態で存在するか
2.直近3年間のキャリアとスキルは3年後も活かせるか
3.個人が組織に所属する働き方、個人が集まって組織を作る働き方、組織に所属しない働き方
4.生計を営むための収入、扶養する家族、介護する家族など
5.過去の健康状態ではなく、これからの健康状態について
6.働く場所と住む場所について

◆「AI型」と「ロボット型」

定年後の働き方のアドバイスに「今までのキャリアとスキルを活かして」とか、「人間関係を維持すること」というのがある。これは適切なアドイスなように見えて、実はいつでも誰にでもあてはまるアドバイスである。定年直前の3年間のキャリアとスキルは今後数年は役に立つかもしれないが、職務経歴書などに長々と書くキャリアとスキルはあまり意味がない。また、仕事上の人間関係はほとんどが会社との関係であり、個人との関係ではない。退職した時点で関係はなくなると思ったほうが良い。

自分のキャリアとスキル、人間関係を判断する方法として、自分が今まで行ってきた仕事は「AI型」か「ロボット型」か、その両方か、それともどちらでもないかという考え方をしてはどうだろうか。

「AI型」というのは知識集積型の仕事で、キャリアやスキルから得た多くの知識から最適解を見つけて行動に移すという働き方で、「効率重視型」の働き方ができる人である。
「ロボット型」というのは労働集中型の仕事で、労働をパターン化することでマニュアルで作業可能にし監督するという「生産性重視型」の働き方ができる人である。

◆「何ができるか」という働き方

この両方をこなす人が今までは重宝されてきた。効率と生産性が高く、さらに人間関係も広く良好であれば文句のつけようがない、というのが今までの時代であった。これからは「AI」と「ロボット」が代行する時代がくるであろう。また人間関係も、組織内の人間関係と組織外の人間関係があり、組織内では役職と年数で人間関係は構築され、組織外では名刺に書かれている内容で人間関係は構築される。「AI」と「ロボット」には、役職も名刺も必要ない。何ができるかだけだ。

どのような働き方でも「何ができるか」を客観的に示すことが必要である。ニューシニア世代の働き方でも同じで「何ができるか」を示さなければ型式の古い「AI型」か「ロボット型」の働き方をする仕事しかできないのである。同じ仕事をしても過去は10万円稼げていた仕事が、機械との比較になるので5万円になるかもしれないのである。

◆ニューシニア世代が働き方を変える

「AI型」でもなく「ロボット型」の仕事をしている人は年齢に関係なく働くことができる。新しいことを常に仕事としてしている人は、このどちらでもない。ただこういう人は限りなく少なく、ここで私が書くことでもない。今まで「AI型」「ロボット型」の仕事をしてきた多くの人が、ニューシニア世代にどのようにした働くことができるか、ニューシニア世代以降のシニア世代にどのようにして働くことができるか、その鍵は「時間と場所」にあると思う。

ニューシニア世代より前の年代の人は古い仕組みで働いてきた人であり、ニューシニア世代より後の年代は新しい仕組みで働く人である。新しい仕組みで働く人は古い仕組みを客観的に見れるが、古い仕組みで働いてきた人は新しい仕組みを主観的にしか見れない。新しい仕組みは自分たちには関係ないのである。では、ニューシニア世代はというとどうだろうか。古い仕組みの考え方では新しい仕組みの下では働けなくなるので、新しい仕組みに合うように古い仕組みの働き方を変えることがニューシニア世代の使命になるのではないだろうか。

次項では、働き方を新しい仕組みに変えるために「時間と場所」という観点からニューシニアの働き方を考えてみたい。





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