◆ニューシニアとは

「ニューシニア」という言葉はかつて「シニア」と言われていたイメージを払拭するために使われていました。団塊の世代が50代半ばを迎えようとしていた10年以上前の話です。




それから5年ほど経つと「ニューシニア」に続いて「アクティブシニア」とか「スマートシニア」という言葉なども目にするようになりました。団塊の世代が消費の中心になると考えたマーケティングによって作られた言葉です。

団塊の世代が自分たちで自分たちのことを「ニューシニア」「アクティブシニア」「スマートシニア」と呼んだわけでもありませんし、好んで呼ばれていたわけでもありません。このような言葉を使うことによって「シニア=高齢者」というイメージを変えて購買意欲が衰えないようにしただけだと思います。どんな言葉を使おうと年齢は変わるものではなく、グループ化することで販売しやすくするという売り手側の都合だったのです。

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少子高齢化が進み、団塊世代の大量定年が本格化するなど、消費購買層としてシニア層に対する注目度が高まっている。従来の若者向けやファミリー向けの消費が縮小する中で、使えるお金や時間に余裕があるとされているシニア層の消費をどのようにして取り込んでいくかが、今後のマーケティング活動や集客戦略のポイントになるとみられているからである。
 (2017年版 シニア関連市場マーケティング年鑑 矢野経済研究所

ではなぜまた「ニューシニア」という言葉を使ってブログを書いているかと言いますと、簡単な話で、他に言葉が思いつかなかったのです。では「ニューシニア」と「シニア」の違いは何でしょうか。人生には大きな区切りがあります。未成年から成人になるとき、日本では明確に「20歳」となっています。成人式では新たに成人になる人、なった人を「新・成人」と呼びます。まさにこの「新」がニューシニアの「ニュー」なのです。新たにシニアなる人、なった人を「ニューシニア」と考えることにしました。

成人には「20歳」という明確な区切りがありましたが、シニアには明確な区切りがありません。シニアの区切りらしきものとして「定年」と「年金」があります。60歳だった定年と年金も65歳に移行しつつあります。数年後には65歳が定着し、シニアという区切りも65歳になるでしょう。そのころには団塊の世代は70歳を超えます。この世代を追いかけているマーケットはまた新たに対応する言葉をマーケットに流すことになるでしょう。

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日本人の平均寿命が男性が約81歳、女性が約87歳になっています。この寿命年齢を超えると間違いなく高齢者と言ってよいと思います。平均寿命以下の年齢はシルバー、その前がシニアということになるでしょう。一方、20歳で成人を迎えた人は、その後はアラサーと呼ばれる青年期、アラフォーと呼ばれる中年期を迎えます。ここまでは右肩上がりの年の取り方をイメージできます。50歳辺りから右肩上がりが終わり中高年と呼ばれるようになります。

このころになると明らかに社会での存在感が変わってきます。勝ち組・負け組と分けられたり、社会格差を大きく感じるころになります。今までは年を取ることが成長の証だったのですが、今度は年を取ることが衰退を意味するようになります。「老化」という言葉にやたら敏感になるのが50歳辺りからでしょうか。過去を振り返り、これからを案じ始めるのこのころでしょう。個人差はありますが、どんなに寿命が伸びようと人生後半戦に入ったことを認めなければなりません。

「ニューシニア」とは50代から60代、特に55歳から64歳までの年代を対象にして考えています。いずれ「年金」と「定年」の年齢が変われば「ニューシニア」の対象年齢も変わるでしょうし、その時にはまた新たな呼称を考えるかもしれません。また毎年、ニューシニア層の入れ替えが行われるので社会環境に応じて役割も変わることになります。数年間の傾向を見ながらこれからのニューシニア層、シニア層、シルバー層、高齢者層について考えていくことが必要になります。



◆ニューシニアの役割


2017年現在、50歳は1967年生れ、55歳は1962年生れ、60歳は1957年生れ、65歳は1952年生れとなります。そして2017年4月1日現在の人口と人口割合は下表のようになります。55-59歳の人口が人口ピラミッドの「くびれ」になります。30-34歳が720万人、35-39歳が801万人であることを考えると人口の割合は30歳代と同じ割合となります。50歳代後半の人口は決して多くはないのです。

人口ピラミッド_2015
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日本は民主主義なので多数決で国政が決まります。国政選挙における年代別投票率を見ると直近の衆院選でも参院選でも60歳代-50歳代-70歳代と続き、この年代が平均投票率を上回っています。つまり日本の国政は50歳代以上で決まっていることが予想されます。40歳代以下が偏った支持がない限りは国政は大きくは変わりません。選挙結果は50歳代以上に有利な政策となる人口構成なのです。

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現在のニューシニアの現状は、60歳代後半の定年・年金受給組と60歳代前半と50歳代後半の定年・年金移行組と50代歳前半の定年・年金後退組に分かれます。60歳代後半は既得権を得ていますので現行の制度を変えるつもりはないでしょう。そうなると50歳代後半から60代歳前半、つまり55-64歳が今後の日本の人生後半戦の在り方を問い、変えていく最初の年代になります。制度が変われば考え方も変わるという受け身の存在ではなく、制度よりもまず考え方を変え、次の年代で制度化するといいうことです。

50歳代の次にはまた「団塊の世代ジュニア」と言われるボリュームゾーンが訪れます。今の40歳代に相当する年代です。この年代がまたニューシニアという年代になれば、また新たな考え方が生まれるかもしれません。ただ現在のニューシニアの年代に属する人は、40歳代の考えていることを踏まえながら人生後半戦の在り方を考えていかなければならないと思います。40歳代の考えていることを知るには、その世代の国政、産業界のリーダーを見ていく必要があります。

もう一つは、国内の状況だけではなく国外の状況についても考え、適応していかなければなりません。例えば英語は70歳代以上の人にとっては外国語で遠い存在でした。50-60歳代では外国語は学ぶもの、30-40歳代では仕事にも生活にも必要なもの、20歳代では第二言語という位置づけに変わっているように思います。

国際環境も変わっています。その昔、戦争と言えば陸戦でした。陸戦から海戦に変わり、さらに空戦に変わり宇宙戦になるかと思えば、サイバー戦に変わりました。情報通信も陸から海へ、空から宇宙へ変わり、今ではインターネットというサイバー空間での情報通信が主流となっています。ただモノとヒトだけは未だに陸上移動が最も有効な手段です。

このような状況の中でニューシニアの役割は、国際感覚を身につけ国際情勢に関する知識を得ることを怠ってはなりません。年を取るにつれて自分の身の回りのこと、内向きの国内の話題にばかり関心を持ちがちですが、前述のとおり国政は50代以上の意志が反映されているのが現実なのです。これからの世代に向けて日本という国がどのような方向へ向かっていくべきか、そのための人材の輩出と予算の捻出も本来はニューーシニア以上の世代の役割なのです。



◆今回のまとめ

  • シニア」とは、高齢者というイメージを払しょくするためにマーケティングによって作られた言葉である
  • 「ニューシニア」とは、「年金」「定年」という人生の区切りを迎える前の「55-64歳」の年代を指す言葉である
  • 年を取ることが右肩上がりのイメージから、50歳ごろからは「老化」を意識し右肩下がりを認識するようになる
  • 日本の国政は50歳代以上の意向が反映されているが、55-64歳が日本における人生後半の在り方を変える先駆けとなる
  • 自分たちの年代だけではなく40歳代の国政・産業界のリーダーに注目し、次世代の人生後半戦についても考えなければならない
  • 国際情勢の知識を得ることも怠らずに、次世代における人材の輩出と予算の捻出を計るのもニューシニア以上の役割である


次回は「定年は55歳、年金は60歳」について考えてみたいと思います。
(ニューシニア講座は毎週1回、月4回の更新予定)



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