人生後半戦の新おとな学入門

50代60代のためのニューシニア講座 働き方・暮らし方・生き方・学び方・遊び方


前回は「事業者としての働き方、生活者・利用者としての暮らし方」について考えてみました。今回は、「事業者としての働き方をミニマルビジネスで始めるにはどのようにすべきか」ということについて考えてみたいと思います。


◆目的は社会との関わり方

事業者とは「営利目的で事業を行っている者」として解釈されています。私の考える事業者とは「事業主と雇用者の両方の考え方を持って働く人」のことを指します。営利を目的と考えるのは税金を徴取するための考え方なのでしょう。

営利は社会との関わり方で結果的に得られるものであり、重要なことはどのようにして社会と関わるかということだと思います。「社会との関わり方が目的であり、営利は結果である」と考えています。

また、事業主であり雇用者でもある「自営業者」という言い方もありますが、自営業者は独立して事業を行っています。私が考える事業者は独立している必要はなく、組織で働くこともできます。組織の社会への関わり方が自分の考え方と同じであれば、組織で働くこともやぶさかではありません。



◆ヒト・モノ・カネ

「ミニマルビジネス」と似た言葉で「スモールビジネス」「マイクロビジネス」「ひとりビジネス」があります。これらを規模の違いと考えるのであれば、ミニマルビジネスの位置づけは、マイクロビジネスとひとりビジネスの間になります。

もう少し具体的に考えていきたいと思います。まず「ヒト・モノ・カネ」の順番で考えてみます。

「ヒト」は「自分」です。「上司も部下もいない、パートナーはいる」という考え方です。タテの関係ではなく、ヨコの関係で共同で働く人がいてもかまいません。多くても数名、できれば家族であることが望ましいと思います。

新おとな学

「モノ」には「有形のモノ」と「無形のサービス」があります。またモノとサービスの区別がつきずらい「モノ」もあります。電気や電子書籍などです。「モノ」とは提供できる価値あるモノ・サービスとして考えます。基本的にモノは仕入れを行わずに自分で作り出すか組み立てを行います。広い範囲での「自分で作ったモノ」です。

「カネ」は入ってくるカネと出ていくカネがあります。収入と支出、そしてその差の損益となります。営利が目的ではないと言っても損失が続くとビジネとしては成り立ちません。やはり「収益」に結び付けなければなりません。ミニマルビジネスでは年間で100万円以上の収益をビジネスの目標とします。

これらは厳密な基準ではありませんので、自分でビジネスと言える基準を作るべきです。誰にでも分かりやすく説明できる基準です。


◆情報・時間・場所

「ヒト・モノ・カネ」の他にもミニマルビジネスに必要な要素があります。

自分のビジネスに関する「情報」には、外部情報と内部情報があります。外部情報とは、顧客・マーケット・社会環境などの情報です。内部情報とは、主に「ヒト・モノ・カネ」の情報です。情報は固定的ではなく流動的なので情報を管理するのではなく、情報源を管理することが大切です。

ビジネスは「時間」との戦いです。時間が短く、スピードが速い方が良いわけですが、そればかりではありません。時機と期間という考え方も必要です。どのタイミングでビジネスを行うのか、どのくらいの期間がビジネスに必要なのかを見誤ると他の要素がそろっていても成功するとは限りません。

ビジネスには「場所」が必要です。どこで働くかという場所です。場所を固定しない働き方としてノマドワーク、リモートワーク、テレワーク、シェアオフィス、コワーキングスペースなどの言葉が多数ありますが、基本的には働き方というよりも働く場所に重きを置いています。働くにも生活するにも人間には場所が必要なのです。どの場所が最も働きやすいかということです。

「情報・時間・場所」は、マイクロビジネスにとって重要な位置づけになります。「ヒト・モノ・カネ」を補完する要素ではなく、また別々に考える要素ではありません。6つの要素を常にバランスよく考える必要があります。


◆最も重要なマインド


7つめは「マインド」です。なぜ自分がマイクロビジネスを始めるのか、マイクロビジネスを行っているのかというマインドです。社会とのどのような関わり方をするのかということは、「マインド」によって大きく変わります。

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「生活するためにビジネスを行う」という考え方は、自分が生活するためのお金を稼ぐことが目的となります。つまり「営利目的」です。営利目的だけなら雇用者として働いた方が確実ですが、雇用主が見つからない場合もあります。そのときは自分でビジネスを行うしかありません。

この場合は、営利目的の事業主であり雇用者でもあるという独立した自営業者となります。社会との関り方を抜きにすると、収入が多く支出が少ないもモノ・サービスが収益に直結します。極端な考え方をすると、たとえ粗悪品であろうと非合法であろうと儲かれば良いとなってしまいます。

生活をするためにビジネスを行うこと、自営業者としてビジネスをおこなうことが悪いと言っているのではありません。営利目的はマインドではなく、社会との関わり方がマインドを持つことになるということです。

「自分がどのように社会と関わりたいか」ということを考え、明らかにすることがビジネスの「マインド」につながります。社会というのは誰なのか、社会に必要なモノなのか、社会がどのように評価するのか、ということです。

「マインド」は、情熱であったり、使命感であったり、経験であったり、いろいろなことが影響します。同じモノやサービスを同じ金額で提供していても、マインド次第で社会に受け入れられることもあれば、まったく受け入れられずに社会と反目してしまうこともあります。

ミニマルビジネスは自分が中心になってごく少数の人数で行うビジネスですので、「マインド」が直接的に表面に現れるビジネスです。本来は7つめの要素ではなく1番最初に取り上げる要素なのかもしれません。


ニューシニア世代のミニマルビジネス

50歳からのニューシニア世代のミニマルビジネスを、これまで書いたことに当てはめて考えてみたいと思います。

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「ヒト」は、自分と家族の範囲になります。家族の協力なくしてはミニマルビジネスはできません。本業がある人は本業をおろそかにしないのと同じように、家族との関係もおろそかにしてはいけません。

「モノ」は、本業で身につけた知識・経験・技能を活かすことは良いのですが、同一同種のモノやサービスを提供してはいけません。なぜなら競合してしまうからです。または、本業で活かせなかった知識・経験・技能であれば、ビジネスとして提供することはとても良いことだと思います。

「カネ」は、1ヵ月の収益を10万円を目標することから始めます。10万円というのは理由があるのではなく切りが良いからです。10万円以上の収益を上げれるようになったら、規模を大きくするか、規模は同じで質を上げるかというように考えることができます。もう1つビジネスを増やすということも考えられます。

「情報・時間・場所」は自分で管理できる範囲にします。「情報」を管理するよりも、管理できる情報の範囲でビジネスを行います。「時間」は少ないに越したことはありませんが、労働時間当たりの収益率は常に管理します。「場所」は自宅が最も効率が良いと思います。

「マインド」は、自問自答して明らかにする方法もありますが、家族や親しい友人・知人と会話しながら明らかにする方法もあります。本を読むことによってロールモデルを見つけ、マインドを形成することもできます。マインドは知らず知らずのうちに作っているものでもあり、また一番時間のかかることでもあります。



最後に、ニューシニア世代にとってミニマルビジネスをおすすめする理由が2つあります。1つはビジネスの終わり方を決めやすいということと、もう1つは細く長く、健康であれば死ぬまで続けられるビジネスだということです。

ニューシニア世代は、人生の終わりを意識して生きていくことになります。悲観的になる必要はありませんが、楽観的でもいられなくなります。現実を見すえて働き、暮らし、生きていくためには、死ぬまで続けていく「なにか」が必要になります。その1つがミニマルビジネスだと思います。

次回は「シンプルライフの始め方」について考えてみたいと思います。
(ニューシニア講座は毎週1回、月4回の更新予定)





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