人生後半戦の新おとな学入門

50代60代のためのニューシニア講座 働き方・暮らし方・生き方・学び方・遊び方


人生後半戦を「現役・退職・老後」と分け、それぞれの「働き方・暮らし方・学び方・遊び方」について考えています。今回は「現役世代」の「介護」について考えてみます。



私の介護経験を簡単にお話しすると


介助・介護・看護という段階

私は介護生活を11年送りました。それ以前の介助という段階を考えると、20代後半から始まっていました。障害や高齢によるハンディキャップが顕著な人たちを支援する段階として「介助 > 介護 > 看護」があると考えています。介助段階では、介助者も要介助者も互いの阿吽の呼吸で大きな負担にもなりませんでした。

介護が始まると生じる問題

その後、母親が介護段階に入り父親が介護するという老々介護が始まり、私が休みの日には介護を手助けするという生活を送っていました。介護が始まるとまず時間の問題が生じます。それまで休みの日は自由に使えていた時間がなくなるわけですから、支障をきたすことも多くなります。ただ2人で1人を介護するという状態でしたのでまだ余裕がありました。

本格的な介護が始まった

数年後、父親が母親の介護中に腰の骨を骨折しました。ここから私の本格的な介護生活が始まりました。父親が3か月入院している間に、ケアマネとの打ち合わせ、デイケア、ショートステイと、日常の仕事をこなしながら目まぐるしい毎日を送っていました。時間的な問題と体力的な問題、仕事上の問題が徐々に重なってきたのです。

介護離職は避けられなかった

人生後半戦に入る前に本格的な介護を経験したわけですが、現役世代の介護は大きな問題を抱えます。最近では介護離職を避けるべくいろいろな施策が行われていますが、私は介護離職を避けられませんでした。今では介護休業や介護休暇を合わせると年間90-100日程度の休職が認められますが、この制度を利用しても離職は避けられなかったと思います。




介護で生じる問題と考えておきたいこと


介護にかかる時間が大きな負担

介護の大きな問題として介護にかかる時間があります。介護にかかる時間というのは、介護を行っている時間だけでなく、介護を準備する時間、待機している時間もあります。特に夜の介護は十分に睡眠が取れなかったので、時間的、肉体的、精神的な負担がかかりました。父親が退院して8ヵ月後、睡眠不足が続き熟睡している間に、父親が母親の介護をしようとして腰の骨を再び骨折してしまいました。

私の介護はその後も負担を増した

その後も父親は骨折を繰り返し、3年間で4ヵ所の骨折をし、ほぼ寝たきりの生活になりました。2人で1人の介護から、1人で2人の介護を行うことになったのです。もちろん家族や親戚の手助けもありましたが、メインとなるのは私でした。最終的には、別々の介護施設に入所することができたのですが、波乱はまだまだ続きました。

現役世代の介護で考えておきたいこと

私の介護の例ではなく、一般的な話として考えると、現役で仕事に就いている時に介護が始まるというシミュレーション、特に時間的なシミュレーションを行っておくべきだったと思います。また、介護には介護する時間だけでなく、手続き・準備・待機の時間も必要です。メインだけではなくサブの介護者がいることは時間的にも精神的にも助かると思います。

要介護者と介護者の気持ち

念のため説明しますと、介護される人が「要介護者」で、介護する人が「介護者」です。私の両親は自分の両親の介護をしたことがありませんでした。両親ともに兄弟姉妹が多く、介護をする機会がなかったのです。つまり介護者としての経験がなかったのです。このことに気づくのに随分とかかりました。

介護の経験を持つことは大切

介護の経験があるかないかは、要介護者の気持ちを理解できる程度に差が出てきます。私自身も初めての介護だったので「せっかく介護しているのに」という気持ちになったことがあります。自分の親だけでなく、介護の現場を知る、介護の経験を持つということは大切なことだと今では思っています。
新おとな学



介護を取り巻く環境についてもっと知るべき



現役世代で介護が始まる前に

介護は突然に始まるように思えますが、少しずつ介護する立場に近づいているのです。事前に考えておきたいこととして、「シミュレーション・メインとサブの介護者・介護の知識と経験」の3つをあげました。これらの内容を詳しく知るための無料セミナーなども開かれていますが、介護施設や介護器具販売会社などが主催することが多く二の足を踏んでしまうこともあります。

介護を学ぶ・介護を経験する

介護を学ぶためには、ホームヘルパー2級や介護職員初任者研修などの資格を取る方法もありますが、誰でも知っておいた方が良い研修内容もあります。例えば、車椅子からベッドへの移乗方法があります。私は母親の介護施設で教えていただきました。他にも車椅子の操作方法、段差の越え方とか歩く時の介助の方法なども教えていただきました。このような内容は高校や大学、会社などの研修でもっと取り上げてもよいと思います。

介護事業というビジネス

65歳以上の人口が21%を超える超高齢社会なると、「介護」は国をあげてあらゆる施策が行われています。同時に要介護対象者が増えるのでビジネスとしても成立します。介護保険の下では要介護者が支払う利用者負担は1割ですが、自治体から介護事業者には残りの9割が支払われる(世帯収入などによって割合は変わる)というビジネスです。ビジネスとしての介護制度を学ぶセミナーもありますし、ネット上にも多くの情報が掲載されています。


介護の情報は日々更新されている

平成30年8月には利用負担率が2割から3割に上がる人が全国で12万人(全体の3%)いいると言われています。介護制度はこれからますます現実の状態に合わせるべく変わると思われますが、それを知る術が少ないのが現状です。ケアマネを通じて知る情報がすべての人も多いのではないでしょうか。介護を学ぶ・介護を経験する他にも、介護情報を知るという研修も必要になっていると思います。






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人生後半戦の現役世代に生じる大きなイベントは「介護」です。そして「介護」はいつ終わるのかわかりません。長い介護を経験することになるかもしれませんし、介護の経験をしないかもしれません。この「差」は、時間的・肉体的・精神的・経済的などいろいろな負担と制約を人生後半戦に生じさせます。

要介護者の負担と制約はもちろんのこと、介護者の負担と制約も見逃すことはできません。要介護者のケアだけではなく介護者のケアも視野に入れる必要があると思います。介護施設のスタッフの待遇改善も然ることながら、家庭内での介護についても目を向けるべきだと思います。

介護者のコミュニティ、介護・認知症予防研修などいろいろな集まりがあります。ただ現役世代、介護開始直後はこれらの集まりに時間を割くことが後回しになってしまいます。オンラインで同じようなコミュニティ・研修ができることを望んでいます。

最後に、自分たちが老後世代に入り要介護状態になったときのためにも、介護を学び経験することは大切なことだと思います。




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