人生後半戦の新おとな学入門

50代60代のためのニューシニア講座 働き方・暮らし方・生き方・学び方・遊び方


前回に引き続き50代60代のリデザインを考えていますが、最後は「自己実現」です。自己実現とは「マズローの欲求段階説」の最上位の欲求として理解されていると思います。はたして50代60代の「自己実現欲求」とはどのようなものでしょうか。


50代60代から高齢者に向けての自己実現とは


マズローの欲求段階説

「マズローの欲求段階説」を簡単に復習すると、生きるための欲求である「生理的欲求」、命を守るための「安全と安心の欲求」までを物質的欲求としています。さらにに安全を高めるための「愛と所属の欲求」、集団の中での重要性を求める「自尊心の欲求」を精神的欲求とし、最上位の精神的な欲求として「自己実現の欲求」を位置づけています。

マズロー

社会を支える頼もしい現役シニア?

平成24年の高齢者白書では「就労以外に、生きがいや自己実現を図る」「経済的な側面だけではなく、生きがいや社会参加を重視」と書かれているのに対し、平成29年の高齢者白書では「社会参加の機会は、自己実現への欲求及び地域社会への参加意欲を充足させる」と「自己実現」に対するトーンが下がっています。5年の間に高齢者に対する期待値が下がったのでしょうか。

参考:平成24年 高齢者白書(内閣府)
参考:平成29年 高齢者白書(内閣府)

50代60代は高齢者の入り口

高齢者に対して「自己実現」という言葉が用いられる考え方に「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」があります。「QOL」には「物理的な豊かさやサービスだけではなく、精神的な豊さと自己実現を含める」という考え方が含まれています。高齢者に対しての「QOL」ではボランティアや社会参加が例として取り上げられます。50代60代ではまだ早いと考える人も多いですが、では「自己実現」をどのように考えればよいのでしょうか。

50代60代からの自己実現

人生後半戦は下り坂です。人生前半戦の「自己実現」とは考え方を変えなければなりません。子供に「大きくなったら何になりたい?」と聞くように、「高齢者になったら何になりたいか」を答えることはできるでしょうか。自己実現の方法として、ボランティアや生涯学習などの社会活動だけが「自己実現」と言えるでしょうか。 





50代60代の自己実現と再チャレンジの行い方


未来に向けての自己実現

子供に対して「大きくなったら何になりたい?」という問いかけの意味は、職業や仕事の内容を尋ねています。50代60代の人がこれから先の職業や仕事の内容を答えるときには、今の仕事の延長線として答えるのかもしれません。

定年や引退をした人が働く理由に「経験を活かしたい」「健康のため」と答える人が少なからずいます。「過去の経験」だけでは未来の仕事に活かすことが難しいという現実があります。また、「健康のため」は間接的には社会のためになっても、直接的には「自分のため」です。

起業という自己実現の方法

50代60代の働き方として、今までの仕事を辞めて、もしくは辞めた後に独立して仕事をする起業という考え方を勧めるのをよく目にしますし、また自ら起業を目指す人もいます。また家庭で主婦・主夫をしていた人が趣味と実益を兼ねて働き直しを考える人もいます。それぞれの家庭の事情が許す範囲であれば、これも「自己実現」の方法のひとつです。

自己実現のための再チャレンジ

50代60代から再チャレンジをするためには、まず健康不安を最小限にして体調を安定させることが条件になります。次に人生100年時代においては経済面の安定性も考えなければなりません。いずれは健康寿命を迎えたときに働くことを辞めると考えるか、生涯に渡って働くことを考えるかによっても異なります。

自己実現のための4つの考え方

人生後半戦の働き方と暮らし方を考えるときに、「好きなこと」「やりたいこと」「できること」「得意なこと」という4つの考え方があります。どれも「自己実現」にとっては重要なことです。

これらと全く反対の「好きでないこと」「やりたくないこと」「できないこと」「得意でないこと」についても考えなければなりません。どんなに「好きなこと」でも「できないこと」を「自己実現」のために行なってはいけないということです。




好きなこと・やりたいこと・できること・得意なこと


好きなことを行うためには

人生後半戦で「好きなこと」を行う時にはタイムリミットがあることを考えなければなりません。例えば、昔から好きだったことを毎日しようと思っても健康面での限界があります。限界を超えると取り返しのつかないのが人生後半戦なのです。健康面だけではなく経済面でも同じです。昔から好きだったことをビジネスにしようと思っても経済面が続かなければ無理をしてはいけません。

もう1つ「好きなこと」を行うときに考えなければならないのが「絞り込み」です。例えば、昔からパンが好きだったからパン屋を開こうというのではなく、食べるのが好きなのか、作るのが好きなのか、店を経営することが好きなのか、パンを食べて喜んでもらうのが好きなのか、ということです。食べるのが好きでもパン屋は開けないことはお分かりいただけると思います。

やりたいことを行うためには

「好きなこと」と「やりたいこと」は同じではなく、別のこととして考えます。「好きなこと」は自分が好きなことで、「やりたいこと」は誰かのためにやりたいことと考えます。働き方だけではなく暮らし方においても同じです。例えば旅行に行くときに、「旅行が好きだから」と考えるのと「家族と旅行へ行きたい」と考えるのは違います。

「やりたいこと」は相手がいるので、相手のことを考えることが必要になります。今日は疲れたから店を開くのを止めよう、家族旅行は行き先を決めるのが面倒だと考える人は「好きなこと」に徹するべきです。「好きなこと」が「やりたいこと」に変わった時に店を持つ、家族旅行に行くと考えればよいのです。

できることを行うためには

「できること」を行うことは簡単です。誰もがそう思うでしょう。それは「できること」を自分のやり方で行うからです。同じことでもやり方が変われば「できること」が「できないこと」に変わります。特に時代の流れに沿ってやり方を変えなければならない働き方があります。例えば資料作りは手書きではなくパソコンで行うことはできるでしょうか。

自分のやり方で「できること」には、これからも変わらない働き方と暮らし方に注目することで「できること」を行い続けることができます。特に暮らし方は、長年の習慣で「できること」が決まっています。例えば料理ができる人にとっては当たり前のことが、できない人にとっては憧れに変わるのです。このように考えると「できること」で「自己実現」が可能になります。

得意なことを行うためには

「できること」が同じでも結果を比べると人によって差が出てくる場合があります。「得意」とは自分で決めることではなく、比較で決められます。長い間経験したことが得意なことと考えがちですが、もっと得意な人がいるかもしれません。「得意なこと」とはこれからも努力を続けられることに限られまます。

例えば料理が得意だと思っていても、一流の料理人と比べると結果は歴然としています。たとえ1つの料理が得意でもレパートリーの広さは一流の料理人に負けるでしょう。「できないことをできることに、できることを得意なことに」と考えると「自己実現」に向けての方法も明確になってくると思います。




◆◆◆◆◆

自己実現とは堅苦しいことではなく誰もが持っている理想や夢を実現することへの挑戦です。人生後半戦の挑戦はどのようにして行えばよいのでしょうか。次回に続きます。




このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ